今回は、かなり
ネタバレを含む感想なので、キャラクターについて、いくつか説明不足な部分もあると思います。
一応、プレイ済みの人向けということで。
青春ストーリーは不要
ゴアは、今までにないタイプのキャラクターでした。
突然、とんでもないことを口走るし、行動は読めないし。
プレイ中、何度も、ハラハラさせられました。
正直、胸糞の悪くなるようなキャラクターです。
でも、そうなるように意図してやっていることなので、気分を害することが面白いことになるという、何だかよく分からない、変テコなキャラクターでした(笑)
誰しもが、暗黙の了解として触れないようにしていることを、ゴアが、皆の前で暴露してしまう場面では、あまりの唐突さに意表を突かれました。
「うわぁ…、キツいなぁ」と、思わず独り言を口にしてしまったほどです。
具体的に言うと、ゴアは、ヒロインが一人エッチしていることなど、人に言えない秘密を、本人の目の前で友人や主人公にバラしてしまうのですが、とんでもない話です。
この手の話は、事実はどうあれ、話題にのぼって注目された時点でアウトですからね。
男ならまだしも、女の子にしてみれば、これは死活問題でしょう(笑)
ネタがネタなだけに、アホみたいな話ですが、常識から逸脱した者が1人いるだけで、何気ない日常が、いとも簡単に壊れてしまうという事実が描かれているのは確かです。
そこに"怖さ"を感じます。
惜しいのは、主人公がゴアの言った秘密を聞き逃してしまうことです。
"ヒロインとゴア"の1:1の構図以外にも、主人公も巻き込んで、1:1:1の複雑な展開を期待していたので、これは残念でした。
とはいえ、ヒロインの悩みと並行する形で、主人公も、とある問題について悩み始めます。
ただ、ヒロインの悩みと比べると深刻じゃないというか、非常に青臭い内容だったので、そこが僕には蛇足に思えてしまった感はあります。
主人公は、家に居候している年上の男と未熟な自分を比較して落ち込むのですが…、まあ、それだけの話なんですよ。
後々の布石にもなっていませんし…。
思春期らしい悩みであることは分かります。
主人公のイライラ感だとか、同居している親戚のお姉さんに対する微妙な感情だとかも伝わってきます。
このイベントを通して主人公が成長するというのも分かります。
でも、興味の対象がゴアとヒロインの話の方にいってしまっている状況では、あまり面白いとは思えませんでした。
読んでいてダレた部分でもあります。
一見、ヒロインの問題と並行して進んでいるようですが、その実、接点がないせいで、ただ交互にイベントを見せられるだけになってしまっている、というテンポの悪さがいけませんね。
主人公のイライラとヒロインの悩みに接点があれば、まったく話は違ってきたのかもしれませんが…。
率直に言ってしまうと、オカルトだとかインモラルだとか、そういうのに期待してプレイしているのに、青春ストーリー的な青臭い部分にばかり力が入っていて、期待はずれでした。
途中、井戸の底に降ると通路があり、奥に進むと…、みたいな、冒険心をくすぐられる展開があって、気持ちが盛り上がったことも何度かあったのですが、全体を通して考えてみると、やはり退屈していた時間のほうが長かった気がします。
ゴアが強すぎ…
本作は、上記したような、構成のマズイ部分がやたらと目につきました。
中でも、特に気になったのが、ユカ達4人の映っている写真です。
写真が登場するのは中盤以降ですが、これは、序盤のうちに見せた方が効果的だと思いました。
読み手に写真を見せた上で、序盤から中盤にかけて、ユカの不思議度をもう少し抑えめに書いておけば、プレイヤーとしては色々と考えさせられる展開になっていたと思います。
婆さんの正体が分かったときの衝撃も大きくなると思うし。
やっぱり、ある程度の"ため"は欲しいですよ。
引っ張りすぎて後で、「なーんだ、しょうもない」となることも多いですが、本作のようにオープンすぎるのもつまりません。
知りたいことが分かってしまっていると、あまり読む気がしないものです。
話の流れから、ユカとゴアが黒幕というのは明らかでした。
とすれば、「二人の存在は何なのか?」「どうしてそんなことを?」と、そういうことが気になってきます。
ただ、その段階でネックになったのが、ユカやゴアやその他もろもろを含めて、どう考えても"現実路線のオチはあり得ない"設定であったことです。
ユカとゴアの能力があまりに底知れなさすぎて、「結局、何でもアリじゃねーかよ」と、開き直って読んでしまうんですよ。
ただただ、受け入れるばかりになるというか。
そうなると、もうどうしようもないです。
どんな展開になっても、「まあ、こういう流れもあるわな」と、話の受けとめ方が、どこか諦めの混じったものになってしまいます。
もっと殺伐とした、ギリギリの緊張感が欲しかったです。
いつ殺されてもおかしくないけれど、それでも警戒することに意味が残されている状況、とでも言えば良いのでしょうか。
本作だと極端な話、突然ゴアが目の前に現われて、主人公を切り刻んで"THE END"でも、「まぁ、それはそれでアリ」になってしまうわけです。ゴアの能力が凄過ぎるから。
実際、これに近い終わり方をする"BAD END"がいくつかありましたが、直前の選択肢との因果関係が希薄で、不条理さを感じました。
総評 C
白い着物の女の人が、変なしゃべり方をしたり、不思議な石が登場したり…。
突然、現われたり消えたりするけれど、そもそもゴアって何者なのか? 等。
演出が過剰で、思わせ振りな設定や展開が多いため、作品の良し悪しとは無関係に"期待はずれ"になりがちで損な作品です。
子供時代の、主人公とユカの出会いがまったくの偶然であったことには、がっかりしました。
主人公はユカに覚えがないのに、ユカは主人公のことを覚えていて、しかも好意を持っている、という設定は、僕の本作における最大の関心事でした。
それが、ただ、偶然出合っただけとは……。
僕は、主人公が知らず、ユカだけが知っている"何か"こそが、本作のキモだと思っていたので、答えが分かったときには、あまりの浅さに、どっと疲れました。
余談になりますが、僕は、由規と恭司(主人公)との2人を主人公に立てて書いたほうが無理のない展開にできたと思っています。
本当は、由規とユカの方につながりがあったのを、無理やり恭司の方とくっつけたのだから、無理が出るのは当然です。
主人公を2人にして、伏線を分担して処理していけば、ここまで苦しい幕引きにはならなかったはずです。
上の方で、冗長だと言った恭司の悩みも、由規の視点でさらりと処理してしまえば、スッキリまとまっていたように思います。
まあ、机上論ですらない適当な考えですけど(^^;
で、これまたさらに余談になりますが、血が出て、臓物が噴出して、女が犯されてという、この手のダーク路線の作品が、僕は大好きです。
ところが、今回は、制作者さんと趣味が合わなかったために、えらい目をみました。
僕が、本作に求めていたものと、実際の内容とが、あまりに違いすぎました。
グロ系、ホラー系全般が特に。
本作は、基本的に、グチャグチャであればあるほど気色悪くて、吐き気がして、素晴らしい、といった感性で書かれているようで、それは僕からすれば、ちっとも怖くないし、気分も悪くないんですよ。
血も出れば出るだけ怖いだろう、という感じだし…。
完全に、スプラッター映画のノリなんですね。
でも、そんなものは、テキストと絵に落とし込んでも面白いわけがないんです。
元々、フィルムの迫力でみせているものなんですから。
それに、勝手に過激な表現をしておいて、それじゃマズいと、今度は、勝手に規制してモザイクをかけているのも、本末転倒に思えて好きになれませんでした。
だったら、最初からほどほどにしておけば良いんです。
それにしても、好きなジャンルで、ここまで趣味の噛み合わない作品があるとは、夢にも思いませんでした(^^;