発売日:2005/4/28
シナリオ:飯田和彦
原画:杉菜水姫

カルタグラ 〜ツキ狂イノ病〜

※ネタバレはほとんどありませんが、サスペンス物なのでプレイ予定の方はご注意ください。

『カルタグラ』は最初、それほど人気がないことを不思議に思ったゲームですね。
元刑事の主人公が人探しをたのまれて、調査をするうちに猟奇事件に巻き込まれていくという話です。
結論から言うと、悪くはなかったです。
でも、僕はあまり好きになれませんでした。

埋めるまでが読みたかった
一番最初に、着物を着た女性が、女の死体を埋めている場面があります。
僕がこのゲームのプロデューサーなら、ここだけ残してあとは全部書き直させていたと思います。
日程的にそれが難しいなら、プロローグは、惜しいですがカットさせるでしょう。
筋は通っているんです。
最初に見たその場面が、どういうことなのか説明する自信はあります。
でも、ないほうが絶対に良いです。

というのも、最初は重要そうに思える場面ですが、終わってみるとそうでもないんですよ。
僕がはじめに「書き直し」と言ったのはそういうことで、あのシーンをプロローグとするなら本作は『カルタグラ2』的な位置づけになってしまいます。
確かに犯行の動機はわかりました。
でも、過去に、主人公と彼女との間に、何があったのかの語りが雑だったし、彼女の苦悩もイマイチ伝わってきませんでした。
一番読みたい部分が欠けてるんですね、僕にしてみれば。

『カルタグラ』は、なぜ彼女は殺人を犯さなければならなかったのか、を中心に据えた物語だと思っていました。
だから、物語の最後は、プロローグの死体を雪に埋めるシーンが出てきて、死体を埋め終わった女がふっと空を見上げる。
それで、視点がどんどん空に上がっていってフェードアウト、みたいな終わり方を予想していたんです。
もしくは、プロローグよりもう一言だけ多く彼女につぶやかせてみるとか。

僕の勝手な妄想は置いておくにしても、なんにせよ、最後はプロローグに出てきた場面へと、物語がつながっていくのだろうと思っていました。
それくらい、僕にとっては最初のあのシーンが全てでしたから(笑)
でも、結局、プロローグの場面は、主人公が捜査を始める以前の話で、時間的につながっていくということはありません。
そこに行き着くまでに別の方向で話が大きくなりすぎていて、今更という気がしないでもなかったし。

僕が本当に読みたかったのは、彼女が女を殺して埋めるところまでです。
埋めた後の話には、まったく興味がありませんでした。
最後のほうで、それがもう済んだ話だと分かったとき、物語に対する興味は一瞬でなくなりました。

主人公と七七
本作の主人公は元警察官で、現在は遊郭に居候している職なしのダメ男です。
そういうこともあって、立場上、なかなか事件に絡んでいけません。
とはいえ、事件を捜査しないと話になりませんので、どうするのかと言えば、情報網を活用しての捜査になります。
遊郭の姉さんからだったり、町の浮浪者からだったり。
で、情報を待つ間は女の子と……、というわけです。
なるほど上手いこと考えたとは思いますが、これは正直ダレました。
捜査には受身なクセに、女には積極的じゃねーかよ、と。

真相に徐々に迫っていくワクワク感がまったく感じられなかったのが残念ですね。
かといって女に迫るドキドキ感もなかったし(笑)

七七は、主人公の逆で、出しゃばり過ぎです。
どういう設定なのかわかりませんが、七七は少し優秀すぎました。
ポーカーでも、ジョーカーは一枚だから面白いのであって、何枚も入っているとゲームはしらけます。
それと同じことで、何でも有りのキャラクターが前に出すぎると、洒落では済まなくなってしまいます。
本作のようなサスペンス物は特に、です。
その何でもありの七七が、どこからか仕入れてきた情報を元に、あっさり事件を解決してしまうのだから、見ているこちらとしては、どうにも納得いきません。

七七が主人公の妹であるという以外に事件と接点がないのも気になります。
友人(綾崎楼子)が事件に巻き込まれて死んだことが、動機になり得るのかもしれませんが、それではちょっと苦しくて、どうしても、頑張って話をつなげたのがわかってしまいます。
極端な話をすれば、七七の兄(主人公)に対する想いをしっかり描けていれば、綾崎楼子は必要ないわけですよ。
それだけで七七が、事件に関わる理由が説明できてしまいますから。

総評
過程は不満だらけですが、全ての謎に対して説明がなされていたことには、非常に好感が持てました。
絵も音楽も水準よりかなり上の出来だし、良作の部類に入る作品だと思います。

ただ、僕は上に書いたような理由もあって、あまり楽しめませんでした。
プロローグの、女が死体を埋めているシーンを見た瞬間に、こちら側で勝手に理想の展開を決めつけて、読んでしまったのが大きな失敗でした。

それで、いざ読み始めてみると「ん? 違うな」と。
最初は首をかしげる程度だった、僅かの食い違いが、シナリオの拙さも相まって次第に大きくなっていったのでしょうね。

written on 2005.09.09

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