ジャズバー、CADENZAでピアノ弾きをしていた主人公、玖藤奏介は、仕事帰りに襲撃を受ける。
狂ったように襲い掛かってくる女を負傷しながらも撃退した奏介だが、翌日バーに顔を出すと人殺しは雇えない、とマスターにクビを言い渡されてしまった。
どうやら警察や憲兵は主人公を犯人として捜査をすすめているらしい。
しかし、あいにくと奏介には殺すほど殴った記憶はない。
無実の罪を着せられた奏介は、事件に巻き込まれた夜に偶然知り合った少女、白河綾音と友人の橘美華夏の協力を得ながら、事件について独自に調査することになった。
絵・音楽
絵はオフィシャルサイトで見れば一目瞭然だけれど、一応説明しますと、スラっとした等身のキャラクターで、原色を避けたシックな彩色。
絵の美しさを引き立てる演出も相まってビジュアル面に関しては言うことなしの出来です。
アクションシーンでCGを使いまわしているため、テキストと若干食い違ったり、キャラクターの立ち回りを制限している印象は受けましたが許容範囲内かと思います。
BGMは生演奏で収録するなど、力を入れて制作していただけあって素晴らしかったです。
舞台がジャズバーということで、ジャズ系の曲が中心になっておりまして、全体を通して聴き心地の良いBGMが多かったです。
音楽鑑賞モードで確認すると、アレンジ曲、ボーカル曲込みで47曲の大ボリューム、のようですがプレイ中はあまり意識することはありませんでした。
僕は読むのに集中すると、周りの音が聴こえなくなる性質なのですが…、惜しいことをしました。
シナリオ
前作の『カルタグラ』をプレイしていない人のほうが楽しめる内容でした。
構成というかプレイヤーの引っ掛け方が『カルタグラ』と似ていて、本来なら意表を突かれるようなシーンでも、前作を知っていた僕は、わりと冷静に読めてしまいました。
主人公が自分から動かないところも同じで、事件や人物の方から次々主人公に寄ってきます。
最後にちょっとだけ頑張って、結局、他の人の助けを借りて事件解決、ってところまで同じです。
ネタバレせずに書くのが非常に難しいのですが…。
姿かたちは違うけれども描こうとしていたものは『カルタグラ』と似ていたように思えました。
構成する要素が似ているというのが無難な言い方かもしれません。
終盤の展開が性急なところまで似ており、前作と同じ轍を踏みまくりなシナリオには少しがっかりです。
変わったことと言えば、前作よりもシナリオに自然に筋が通ったこと。
あと、ゲームを進めることで最悪の結末が回避できるようになったことでしょうか。
まあ、それすらも最後に付け足したよけいな2行のテキストのせいで台無しになりかけているのですが……。
オチの付かないシナリオをどうにかして落とそうとした末の、取ってつけた最後の2行が、物語をかえって後味の悪いものにしてしまったように思えてやるせなかったです。
総評 B→C
本作の良いところは、CGやBGMが演出する『InnocentGrey』特有の雰囲気に尽きます。
シナリオは不満だらけですが、雰囲気の良さに関しては非常に満足しています。
特に、主人公がピアノを弾いているジャズバーの雰囲気などは、なんとも居心地の良い感じで癒されました。
適度に無愛想で、適度にお節介なマスターとの軽口の応酬は読んでいてとても楽しかったです。
正直、事件なんて起こらなくても良かった。
うだつの上がらない主人公が、ジャズバーでうだうだやっているだけのほうが、遥かに面白かったと思います。
シナリオの中盤くらいから、素人目にも、事態を収拾させる巧い展開はなさそうに思えてきて、女の乳を揉む主人公を尻目に、僕は内心気を揉みっぱなしでしたよ、本当。
冗談抜きで。
『InnocentGrey』は、サスペンスをやめて、雰囲気で酔わすようなムード重視の作品で攻めるべきだと思いました。
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written on 2006.10.01
