本作のヒロインは、全員が強気な女の子。
ツンデレ、ツンデレと言われているけれど、一般的にツンデレと言われているようなキャラは一人だけで、あとはちょっと違いました。
ツンとデレの落差はキャラクターによってまちまち。
ほとんど変わらないキャラもいれば別人のようになるキャラもいました。
キャラクターとの関係の変化が、そのままシナリオの起承転結になっている構成で、それだけに特別大きな盛り上がりはなく、最後は穏やかに終わります。
途中がパロディや何やでドタバタ騒がしいだけに、少し物足りないというか、祭りのあとというか…。
的を絞った作品だから胃もたれするくらい濃いのかと思えば、読後感は以外にさっぱりしていました。
絵とか音楽とかシステムとか
CG枚数は約100枚。
絵はあんまり上手じゃないです。
特に立ちグラフィックは、角度やポーズによって印象が変わってしまうものが多く気になりました。
綺麗めな画風ではないので、顔のアップもドキッとするより冷める感じ。
とはいえ、絵柄が気に入っていれば何の問題もないと思います。
絵の好みで評価に補正がかかるのは、美少女ゲームの真理ですね。
BGMはシナリオがコメディなので、どれが印象的だとかはありませんが、エンディングの曲が好きです。
逆にオープニングはネタっぽい曲でいまいちでした。
システム関係では、オートモードが初期設定でちょうど良い具合に調整されていたのが、非常に好感が持てました。
ほとんどの場合、とりあえず付けているだけで、遅すぎたり速すぎたりするものがほとんどなので、今回のように使うことまで考えて調整してくれているのは素直に嬉しかったです。
キャラクター別のシナリオ感想(ネタバレあり)
プレイして面白かった順番に書きました。
なごみ
仲良くなる前はガン付けてくるようだったのが、恋人関係になったとたん「……えへへ」と極端にデレ状態に。
家庭の事情で性格が捻くれてツンデレ? になっているだけのあっさりした話でしたが、真面目な恋愛話でヒロインにも主人公にも好感の持てる良シナリオだったと思います。
本作のヒロインのなかでは、ツンデレと言われて一番しっくりくるキャラクターでもありました。
人前ではツンに戻るのですが、完全に戻りきれていないところが微笑ましかったです。
カニ
本名は"蟹沢きぬ"で、作中ではほとんど"カニ"とあだ名しか出てこない色物ヒロイン。
だと思っていたら、その"カニ"をめぐって、主人公と親友のスバルが対立する三角関係になるから驚きです。
スバルの"カニ"への気持ちに気がついた主人公は悩み苦しみます。
そして、それに気がついたスバルのとった行動が熱くて男臭くて、とにかく恰好良い。
飾れないのか、飾らないのか、どっちにしても結果は同じですが、ストレートな言葉のやり取りが眩しく、いかにも青春という感じで素直に「良いな」と思えました。
男友達を大切に書いているのは、本作の大きな特徴です。
昼飯を男だけで食べたり、放課後に集まるメンツは男が主体だったり、その辺の学園生活の描写がリアルで、主人公の素の部分がしっかり描けていると感じました。
だからこそ、女の子(ヒロイン)と一緒にいるときの主人公の浮ついた感じも自然に出せるし、つき合い始めたあとの生活パターンの変化も意識することができたのでしょう。
エロゲーをやっていて、"男子"と"女子"との距離感を感じたのは、本当に久しぶりです。
乙女先輩
体育会系の熱いお姉さん。
自動車よりも速く走れる身体能力を持ち、日本有数の拳法の使い手で、おまけに校内で帯刀しているという、規格外なキャラクター。
設定から想像できるとおり、一番ドタバタでコメディなシナリオでした。
料理がものすごく下手だったり、機械オンチだったり、男勝りに見えて実は女らしい性格だったり、ベタベタな面白さがてんこ盛りでした。
つき合い始めてから、主人公が乙女先輩にかまけて友人をほったらかしにしてしまうくだりなどは、随分ヤキモキさせられましたが、想像していたような嫌な修羅場がなかったので拍子抜けしつつもホッとしました。
佐藤さん
おまけキャラその1。
クラスの委員長さんで、お人よしで面倒見が良く、クラスの人気者。
もはやツンデレとは何の関係もないキャラクターだし、どうするのかと思えば、とんでもない方向に話が動いていくから参りました。
性欲過多だとか人間不信だとか…。
エリカとの百合ぃ関係が明らかになったり、色々と予想外の多かったシナリオです。
束縛する女って恐い…。
西崎さんを突き飛ばしたり、保健室に引きずっていく場面などは、佐藤さんのあまりの豹変ぶりに苦笑いでした。
ツンデレじゃないけれど落差は物凄かったですね。
おまけのシナリオだから重いテーマのわりに扱いが軽くて、テーマを十分に消化しきれていなかったのがもったいなかったです。
エリカ
あだ名の"姫"というのが、そのまま性格にも当てはまる、自己中心的なキャラクター。
僕は、絵柄からして既に好きじゃなかったので、エリカに惚れてへこへこしている主人公を見ているのが苦痛でした。
佐藤さんのときは、痛々しくても結局、嫌いにはなれなかったのですが、エリカに関してははっきり嫌いです。
表では高飛車な振舞いをしているけれど実は陰で努力しているという、半ば予想済みだった結末まで見せられてもやっぱり好きになれませんでした。
苦労している人って周囲の人間に優しいはずなんですよ。
というか、優しくあって欲しいと思っています。
スバルがまさにそのパターンで、とても優しい男なので、知らず比較してしまったのかもしれません。
財閥の跡取りで内部争いがどうこう、というエリカの境遇は現実離れしているから、共感しづらかったのもあると思います。
ただ、エリカの視点から主人公に惚れていく過程を描くなど、手法としては面白いシナリオではありました。
恋愛に関してドライな性格のエリカは、親友の佐藤さんに主人公を取られそうになって、そこでようやく主人公のことが好きだと自分の気持ちに気がつきます。
そのあとの迅速にして強引な行動がいかにもエリカらしくて、最後は嫌味なくすっきり話がまとまっていました。
祈先生
おまけキャラその2。
いきなり主人公とラブホに行くのは良いとして、ロケットに入った写真のオチがそのまんまなのは、いくらなんでもいい加減すぎました。
先生は、主人公が長年、目標としてきた「テンションに流されない生き方」を実践している人物、とのことですが、シナリオ構成もそんな風な力ない感じで、短いながらダラダラと進んで何となく終わります。
佐藤さんのと違って、完全におまけのシナリオでした。
すぐにHすることが、その証明みたいなものです。
総評 B+?
最初から最後まで、常にそこそこ面白くて、退屈することはなかったです。
過剰なパロディが賛否を分かつかのように評価されがちですが、僕の遊んだ感触だとそうでもなさそうです。
主人公たちの暢気で楽しい学園生活がテンポ良く描かれているし、ツンからデレへの過程も日常のイベントに絡めて楽しく表現されていたし…。
まあ確かに、アニメ化だなんだのと絶賛されるのは過大評価だと思わないこともないけれど、学園ADVのなかでは、かなり上位にランクインする作品だと思います。
僕としては、ヒロインが6人もいて、それで最後までダレずに楽しくやれたというだけで十分です。
大抵は、目当てのキャラクターが終わると急激にプレイ速度が落ちるのですが、今回はそれがありませんでした。
スバルのように、主人公よりも目立つサブキャラクターがいることで、面白さの底上げができているからなのでしょうね。
それなら、ヒロインの好き嫌いで多少評価が上下しても、ある程度の面白さは確保されますから。
パロディもツンデレ属性も、あくまで「+α」。
ツンデレについて特別なこだわりのない僕にとっては、普通に良作の学園ADVでした。