もしも明日が晴れならば 【もしもあしたがはれならば】
委員長の名前なんだっけ?

シナリオは丁寧で読みやすく心に響いてくる。
主人公とヒロインたちの感情の書き方が上手く、感動できるシーンだけでなく、日常生活の何気ない会話や笑えるシーンやシリアスなシーン、感動を誘うシーンなどバランスがいい。
エロを無くせば、PS2に移植できるんじゃないのか?
どのシナリオにもいえることだが、明穂が全編に渡って活躍しているおかげもあり、常に物語を盛り上げ、退屈させることなく進めることが出来た。

終らせた順番は委員長、千早、珠美、つばさ、明穂。
しかし、いきなりBADエンドはねぇだろ、おい…。
一番気に入ったのは明穂シナリオ。
これを最後に持ってきたのは大正解だった。
このエンドを見る前は、他のシナリオで「いいキャラなんだけど、少しうざいかなぁ」と思っていたが、明穂シナリオをクリアーした後は一気に評価が一転、一番お気に入りのキャラに昇格した。
終り方もこれでいい気がする。
さすがに、ラストで「生き返りましたぁ」とか「数年後・数十年後主人公が死んで、天国で再び出会った」とかにしないでよかった。
まぁ、転生させるのが一番の選択肢だよな。
他のキャラのシナリオもよく、それぞれのキャラが持つ主人公への思いや悩みと葛藤が描かれていてよかった。

キャラは千早と珠美がお気に入り。
一番は明穂だが、この二人も個人的に好きなキャラだ。
つばさも悪くないんだが、「なにか」が足りなかった。
つばさファンの人、スマン。

個人的に、千早の舌たらずの声に着物という格好がツボにハマり萌え。
けど、疫病神モードの眼は怖ぇぇ…。
なんか『ひぐらしのなく頃に』を思い出してきたな。
珠美は気が強いのが気になったが、進めていくうちに気にならなくなっていった。
特に、四章に登場した幽霊の実に対する思いは見ていて、それまでの印象が大きく変わった。
また、私服のヒラヒラのブラウスに黒のジャンパースカート姿に萌え。
ゴスロリ系の服装も好きだが、こんな服装も凄っげぇ好みだ。
……あ〜っ、そういえば、俺がメインヒロインそっちのけで真っ先に攻略する娘の多くが、こんな服装の娘ばっかだ。
やっぱ、特殊な性癖の持ち主なのか、俺はぁぁぁっっっ…orz

しかし、委員長と先生と主人公の親友の影が薄いのがなぁ。
いいキャラなんだからもう少し絡んできてくれたらなぁ。
それにしても、主人公ヘタレだぁ…。
久しぶりに魅力を感じない主人公に会った気がする。
悪い子ではないんだけど、このヘタレ具合はどうにかならんか…。
でも、このヘタレ具合が物語に欠かせなかったりするんだよなぁ。

音楽がとにかく素晴らしい。
クラシック・アコースティクな曲がどの場面でも強く印象に残っている。
それに、ピアノと弦楽器の使い方が凄く上手い。
主題歌とエンディング、挿入歌の使い方も場面と合っていて非常に良し。
個人的に、音楽だけ飛びぬけて素晴らしかった『PP -ピアニッシモ- 操リ人形ノ輪舞』と同じくらいイイ。
『PP -ピアニッシモ- 操リ人形ノ輪舞』がジャズなら『もしも明日が晴れならば』はクラシックといったとこか。
サントラが出てるなら買ってみようか。

面白かったのが、章が終るたび挿入される次回予告、後ろ姿の立ち絵、キャラの声が少しずつ消えていく演出。
特に、後ろ姿の立ち絵が会話のシーンなどを上手く表現しているのに驚いた。
これらの演出が、シナリオを上手い具合に生かしているのが好印象。
他にも、細かいところにまで徹底的にこだわっているメーカー側の、この作品に対する思いが垣間見えた気がする。
あと、急須がプカプカ浮いている演出は普通に面白いと思った。

エロはヒロインにそれぞれ三種類ずつ。
適度にエロくていい感じ。
委員長・先生がないのが残念だ。
それに、つばさと珠美との百合なシーンがあったら文句なしだった。
キスしてるCGがあるなら、ピーしてる場面のCGがあってもいいんじゃないか。
いや、あったら作品の雰囲気を壊すから無理か。

しかし、褒めてばかりじゃないんだよなぁ。
まず、共通ルートが長い。
一〜五章までが共通で、六章から個別ルートに突入。
六章に行くまでが殆ど変わらないのが苦痛だった。
まぁ、スキップすれば問題無いんだけど。
あと、一部のシナリオのラストがどこかご都合主義なのも気になった。
まぁ、ハッピーエンドで終ってくれるのが一番いいんだろうけど。
あと、委員長にもう少し出番をあげてもよかったんじゃないかな。
それ以外は文句のつけようが無かった。
メッセージスキップが遅いって意見があるみたいだけど、プレイ中あまり遅いとは感じなかったな。

総評
久しぶりに感動出来る作品だった。
とにかくプレイして損はしないはず。
まぁ、多少『鬱』の要素があるが、まぁ問題ないはず。
シナリオとかにあまり目新しさは感じられないけど、材料をうまく調理して上質な作品に仕上げている。
もし、ファンディスクが出るのなら、主人公とヒロインたちのその後を描いて欲しい。
あと、委員長たちにもう少し出番を増やして欲しい。
死んだ恋人が主人公の元に戻ってくると聞いて、最初は「…なんか、離婚寸前の馬鹿夫婦が出てた映画みてぇだな」と思っていたが、あんな主題歌がクソで話もつまらん映画を見るよりもこの作品をプレイするほうが百倍価値があるってもんだ。
あと、気になったのが、明穂エンドで十年後に明穂が生まれ変わって主人公と再び出会う場面。
一見すると、感動的なんだけど、主人公が高校を卒業して十年経って年齢が二十八歳くらいだと考えて、明穂も成仏した直後に転生したと言っていたので歳は十歳いくかいかないかくらいか。
二人の年齢差は最低でも十八歳近く離れてることになるのか。
…いいのか、おい。

追記
この作品のプレイ中、これまで以上に頭の中で音楽が鳴り響いていた。
下のは個人的なキャラのテーマ曲。

BUCK-TICK『FLAME』(明穂のテーマ)
hide『MISERY』(つばさのテーマ)
ALI PROJECT、『星月夜』(千早のテーマ)
櫻井敦司『猫』(珠美のテーマ)
スピッツ『チェリー』(主人公のテーマ)

他にも、BLANKEY JET CITY『水色』、THE YELLOW MONKEY『花吹雪』とかが頭の中で流れていた。

なんて言うか、歌詞の内容がストーリーやキャラに合ってる気がするんだよな。
まぁ、あくまで個人的な意見なので「あってねぇよ」とか「いや、違うだろ」との意見もあるだろうけど…。
でも、このゲームのキャラのテーマ曲とか作品にあった曲を考えたら、生と死・悲愛を題材にした曲がハマるんだろうな。

あ〜っ、そういえば十二月末に神戸に「隠れエ○ゲーマーの正直しんどい」の管理人といっしょにBUCK-TICKの毎年恒例の『THE DAY IN QUESTION』に行くんだったなぁ。
上に挙げた『FLAME』演ってくれないかな。
BUCK-TICKのバラードの中でも特に好きな曲の一つだからなぁ。
もし、演ってくれたらこの作品のことを思い出すんだろうな、きっと。