つよきす 【つよきす】
元ネタの数多すぎ…。
エロゲー業界に『姉ゲー』という言葉を定着させたと言われる『姉、ちゃんとしようよっ!』シリーズのメーカーが発表した、ヒロイン全員がツンデレという作品。 マンガ化・アニメ化もされたことでも有名らしいが、どちらも見たことは無い。
本文
シナリオは以前プレイした『姉、ちゃんとしようよっ!2』よりも中身が濃くて良かった。 シナリオはお約束というかベタな展開が多かったが、テンポよく最後まで進んで行ったのがよかった。 それでも、キャラ一人にかかる時間は3〜4時間くらいか(一部のキャラはすぐ終わる)。 ちなみに、コンプリートにかかった時間は約十七時間半ほど。
音楽は『姉、ちゃんとしようよっ!2』と同じくI′veが担当。BGMはキャラの濃さのため、あまり印象に残る曲がなかった。 オープニングの曲はギャグ調の明るい曲だが、エンディングの曲は偏見無しに良い曲だと思った。
攻略可能なキャラは六人。以下攻略順↓
・蟹沢 きぬ(カニ) 最初にチュートリアルを見て、カニのシナリオがとっつきやすいと言っていたので初めにプレイ。 他のシナリオよりもスバルとフカヒレとの男同士の関係・友情を深く書いているのが良かった。 中指を立てている立ち絵が何故か好きだ。 エンディングのカニの成長ぷりは反則だろ…。
・霧夜 エリカ(姫) 最初にプレイしたカニのシナリオと比べると、何か物足りないなぁ〜と思った。 メインヒロインの中では一番つまらなかった。 個人的に高飛車・自己中心的なキャラが苦手なせいかもしれない。
・佐藤 良美(よっぴー) 攻略前の印象から「この娘はツンデレじゃないだろ」と思ったが、ツンデレではなく「イタイ」娘だった…。 束縛する娘は怖えぇなぁ…。 …しかし、初体験から二十回近くもヤリまくるのはどうかと思うのだが。 というか主人公がんばりすぎ(笑)。
・大江山 祈 いかにもオマケ・余りもの・余計なもの的なシナリオで物足りなかった。 それに、プレイ時間が一番短いから余計物足りない。 正直、土永さんのセリフを聴くためのシナリオだろ、これ。 どうせなら、西崎さんと楊豆花を攻略可能にした方がよかったのではないか?
・鉄 乙女(てっちゃん) 主人公の従姉弟で、幼い頃から姉のような存在。 シナリオはドタバタして良かったのに、エンディングがあまり印象に残らなかったのが残念。 なんか『姉、ちゃんとしようよっ!』シリーズに登場しても違和感がなさそうだ。
・椰子 なごみ(なごみん・ココナッツ) 作品中、唯一完全にツンデレなキャラ。 ツンからデレになった状態は可愛いの一言。 実はメガネっ娘というのも反則級の破壊力。 個人的になごみのシナリオが一番面白かった。 特に、店長のセリフと体育武道祭でのフカヒレの豹変ぷりが最高。 母親ののどかとの「親子丼」はなかった。 まぁ、なくてよかったが。
サブキャラ、特に男キャラがヒロイン達を食ってしまうほど濃い。 正直、ヒロイン達や主人公よりも存在感があり個性的すぎる。 そのため、主人公が霞みがちになる場面があったが、普段はヤル気なし・ヘタレな主人公が、実はとても熱いヤツというギャップがプレイしていて面白かった。 数多いサブキャラの中でもフカヒレがお気に入り。 こんなことを言うのは何だが、エロゲーマーの多くはプレイ中、フカヒレに自分を重ねている気がするのだがどうだろうか? あと、店長に立ち絵が無かったのが残念だ。
声優陣に『北都南』、『海原エレナ』とエロゲーをしていたら頻繁に目にする声優の名前が多かった。 声優の名前が分かるようになってきたということは、エロゲーマーに近付いてきたということか…。 どの声優もキャラに合っていたが、特にカニ役の『金田まひる』のハマリっぷりは聴いていて「ああっ、カニ役はこの人以外考えられないな」と感心した。 エロゲーにおける声優の重要さが改めてわかった気がする。
が、それよりもだ。 この作品になぜあの『強力若本』と『ベジータ様』がいるんだ!? しかも、メインキャラではなくギャグキャラって、おい…。 『強力若本』に至ってはオウムだし。
『強力若本』が演じたオウムの土永さんもカニと同じくらいハマッていた。 特に、朝のHRのありがたい話の数々は『強力若本』の独特の声のおかげもあり大いに笑わせてくれた。 が、館長に至っては『HELLSING』OVA一巻を見まくっていたせいか、どうしてもアンデルセンに被ってしかたない(キャラは全く違うが)。 館長が銃剣を構えながら「AMEN!」と叫び、「我らは己らに問う 汝ら何ぞや!!」と言っている姿が脳内で出来ているほどだ。 ……重症だな、おい。 というか、『HELLSING』読んだことがない人には何を言っているか分からないだろ、これ。
『ベジータ様』が演じたフカヒレもいいキャラだ。 それにしても『ベジータ様』にこんな愛すべきヘタレキャラも似合うとは驚きだ。 時折、ベジータか横島忠夫に聴こえてしかたなかった。 『3days 〜満ちてゆく刻の彼方で〜』以上に楽しんでいたんだろうな。 聴いていて、本当に楽しそうに声を当てている姿が浮かんでくる。
印象に残ったセリフ
・乙女「合体!? ……レオと椰子が、合体している!?」
が、合体っておい…。 この後のセリフも笑わせてくれる。
・なごみ「センパイに……センパイに気安く触るな!!」 デレになる前のなごみからは想像がつかないセリフだった。
・フカヒレ「そこは出すトコだよう!キュウリなんか入らないよう!」 中の人があの『ベジータ様』という事実がなんとも…。
・祈「さらに加速を。一心不乱の加速を!」 あのページ半分を使った長い少佐(『HELLSING』に登場するキャラ)の演説の一説が聴けるとは…。
・店長「そうだ! よーし気に入ったぞお前! 厨房裏で蟹沢をファックしていいぞ!」 まさか、ハートマン軍曹(『フルメタル・ジャケット』の鬼教官)のパロディーが聴けるとは…。
・陣内(爺様)「ら、らめぇ!電気! 電気きちゃいましゅ! 電気ビビビビビって通ってるのぉ!」 『強力若本』になんつぅセリフ(みさくら語)言わせてんだ、おい…。
・朝のHRで土永さんがしてくれるありがたい話の数々。多いので割愛。
他にも多くあるが、この辺りが何故か「ツボ」にハマッタ。 …なんでだろ? 何気になごみのシナリオからのセリフが多いな。
総評
普通に面白い作品だった。 システム面でも不満はなく、どのキャラも個性的で見ていて楽しい。 無数のパロディーがツボにハマれば、更に面白く感じるはずだ。 『ツンデレ』が作品の売りだと思うが、個人的に『笑』が一番の売りだと思う。 世間一般にツンデレといえるようなキャラは、1、2人しかいないし。 それでも「ツンデレ最高!」「ツンデレ萌え〜ぇぇっ!」な人はプレイして損することはないと思う。 別にツンデレが苦手だという人でも、笑の要素が多い『学園ドタバタADV』としても十分楽しめるはず。
追記
一言にも書いたが、元ネタの数が凄まじい。 全キャラ攻略後『つよきす元ネタwiki』を見て、「よくもまぁ、物語に違和感なく詰め込んだなぁ〜」と思ったのが率直な感想。 そういえば、とある場面で『姉、ちゃんとしようよっ!』シリーズから柊翔、柊瀬芦里、柊空也、柊要芽、秋山衣瑠香、摩周慶一郎が登場してたな。 要芽には短いけどセリフがあったし。 冬にはファンディスクの『みにきす』が出るみたいだし、『つよきす』のキャラクターとの絡みが楽しみだ。
あと、このレビューを書いてる最中、BUCK-TICKの『夢魔 -The Nightmare』を聴いていたが、歌詞の「ツンドラの大地 我 死装束の魂よ」が「ツンデレの大地」と聞こえてなんともいえん気持ちになった…。 「ツンデレの大地」って何だよorz。
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